使いこなす第09章 ・ 読むのにかかる時間 約7分

アーティファクト

文書・スライド・動くツール。会話から作品が生まれる

この章が、この教科書の山場です。会話の隣に文書やスライド、そして実際に動くツールを作ってもらいます。章が終わるころ、あなたは「ソフトウェアを作ったことがある人」になっています。コードは1行も書きません。

この章でできるようになること

  • アーティファクト(会話の隣にできる作品)を作る
  • 文書のアーティファクトを作って、直しながら仕上げる
  • ボタンを押せば動くツールを作って、共有リンクで人に渡す

アーティファクトとは何か

チャットの返事は、会話の吹き出しの中に流れていきます。でも、ちゃんとした文書や、表や、動くツールのような作品は、吹き出しに埋もれてほしくないですよね。Claudeは、作品と呼べる規模のものを作るとき、会話の隣に専用のウィンドウを開いて、そこに作ってくれます。これがアーティファクトです。

アーティファクトの中身は、会話しながら何度でも直せます。「ここを赤に」「1項目足して」と言えば、隣の作品がその場で更新されていきます。第04章で身につけた「育てる」技術が、文章だけでなく作品にも効くわけです。

まずは文書から

肩慣らしに、仕事で使える文書をひとつ作ります。新しいチャットでどうぞ。

やってみよう① 文書のアーティファクト

新入社員に渡す「社外メールの書き方チェックリスト」をアーティファクトで作ってください。 ・宛先、件名、本文、添付、送信前の最終確認、の5つの区分で ・各区分に3〜5個のチェック項目 ・印刷してデスクに貼れる、1枚に収まる分量で

隣に文書が開いたら、続けて「『返信のとき』の区分も足してください」のように注文をつけてみてください。文書がその場で育っていくのが分かります。できあがったものはコピーもダウンロードもできます。

本題:動くツールを作る

ここからが本題です。アーティファクトは文書だけでなく、ボタンを押せば反応する、本物のツールを作れます。理屈は後です。まず作ってみましょう。

やってみよう② 動くツールのアーティファクト

会議のムダを減らすための「会議コスト計算機」を、動くツールとしてアーティファクトで作ってください。 仕様: ・参加人数、平均時給(円)、会議の長さ(分)を入力する欄がある ・「計算する」ボタンを押すと、この会議1回のコストが大きく表示される ・あわせて「毎週開いた場合の年間コスト」も表示される ・数字は3桁区切りで見やすく ・スマホでも見やすいデザインで、日本語で

数十秒で、入力欄とボタンのある画面が隣に現れます。実際に数字を入れて、ボタンを押してみてください。動きましたよね。いま起きたことを冷静に言うと、あなたは日本語で仕様を伝えて、ソフトウェアを1本作らせました。これまで「作る側」は、プログラミングを学んだ人だけの世界でした。その入り口が、いま日本語になったんです。

作ったツールは配れます

アーティファクトには共有の操作があって、リンクを作れば、相手はClaudeのアカウントがなくてもブラウザで開けます。作った計算機を同僚に送れば、その瞬間からチームの道具です。社内で「これ作ったんだけど」と見せたときの反応は、ちょっとした事件になります。

何を作れるのか、発想を広げる

横にスクロールできます

アーティファクトで作れるものの例 読むもの(チェックリスト、手順書、スライド)、計算するもの(見積もり計算機、料金シミュレーター)、遊び心のあるもの(診断ツール、当番決めルーレット)の3系統です。 読むもの チェックリスト・手順書 研修資料・スライド 配布物がその場で完成 計算するもの 見積もり計算機 料金・送料シミュレーター お客さま対応の時短に たのしいもの 診断ツール・クイズ 当番決めルーレット SNSや朝礼のネタに
「うちの仕事だと何が作れますか」とClaudeに相談すると、この表の外まで広がります。

発想のコツは、「世の中にあるけど、うちの事情に合わない道具」を思い出すことです。汎用の計算アプリはあっても、自社の料金体系が入った計算機は売っていません。それが数分で作れるようになった、というのがこの機能の本当の意味です。

よくあるつまずき

アーティファクトにならず、普通の返事で返ってきた
「アーティファクトで作ってください」と明示すれば開きます。短すぎる内容だと会話内で済ませることがあります。
ツールがエラーで動かない・表示が崩れた
壊れた箇所を自分で探す必要はありません。「エラーが出ています。直してください」とそのまま伝えれば、Claudeが自分で直します。エラー文が表示されていたら、コピーして貼るとさらに速いです。
共有リンクの作り方が分からない
アーティファクトの右上あたりに共有や公開の操作があります。見つからなければ「このアーティファクトを共有リンクにする手順を教えてください」と聞いてください。なお、社内情報入りのツールを共有するときは、リンクを知っていれば誰でも見られる点にだけ気をつけてください。

この章のまとめ

アーティファクトで、文書と動くツールを1本ずつ作りました。「AIは文章を書いてくれる道具」という認識は、今日で古くなったはずです。あなたはもう、欲しい道具を日本語で作れる側にいます。次の章では、あなたの仕事のやり方そのものをClaudeに覚えさせる「スキル」に進みます。

章末チェックリスト

ここまで来た人へ

動くツール、作れましたか。

ここまでの9章分で、Claudeの使い方の土台はできています。自分の仕事のツールが作れたなら、この先も自分で広げていけます。

逆に、どこかで詰まって進めていないなら、それはあなたの理解力の問題ではなく、この教科書の説明が足りていない場所です。教えてもらえたら直します。

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